違いをそのまま大切にする
グローバリズムや共存という言葉をよく聞きます。どれも前向きで、明るい未来を思わせる言葉です。でも私は、これらの言葉に触れるたびに、なんとなく引っかかる気持ちがありました。おそらく、「みんな同じ考え方にならないといけない」という空気を感じてしまうからかもしれません。
西洋の近代社会には、目的のために一番効率のよい方法を選ぶという考え方があります。これを“道具的合理性”と呼びます。たとえば、世界に二つしかないものがあれば、一つを壊して残りの価値を高める、という発想もその延長にあります。経済の仕組みとしては理解できますが、日本の「もったいない」という感覚からすると、どこかしっくりきません。
一方で、日本やアジアの文化には、違いを抱えたまま調和を大切にする考え方があります。価値観は人や土地によって違っていて当たり前で、無理にひとつに合わせる必要はありません。違うものは違うままでいい、という自然な感覚です。
グローバリズムは「多様性」や「共存」を掲げていますが、実際にはひとつの考え方に世界をそろえようとする力が働くことがあります。そこに、私が感じていた違和感がありました。本当の共存とは、同じになることではなく、違いをそのまま受け止めながら、ゆるやかにつながっていくことだと思います。
世界には、さまざまな考え方や価値観があります。それぞれが、その土地の歴史や暮らしの中で育ってきた大切なものです。ひとつの考え方に合わせるのではなく、いろいろな考え方が並んで存在する世界のほうが、ずっと自然で、心地よいのではないでしょうか。
私は、違いを違いのまま大切にする姿勢こそ、これからの時代に必要なものだと感じています。
地域社会を豊かにするために
私たちの地域にも、年齢も背景も価値観も違う人たちが暮らしています。その違いを無理にそろえるのではなく、「そのまま」で受け止め合える場があれば、地域はもっとあたたかく、安心できる場所になるはずです。 NPOの役割は、まさにその“ゆるやかなつながり”を育てることだと思います。誰かの考えを押しつけるのではなく、違いを認め合いながら、そっと背中を押し合える関係をつくること。それが、地域を静かに、しかし確かに豊かにしていく力になると信じています。
